読譜力について
私はピアノの講師をしています。その中で、読譜力について考えざるをえないことがたくさんありました。どうやったら、子供たちに楽譜を読む力をつけられるのか。また変わるかもしれませんが、現在たどり着いた答えは、とにかく量をこなすこと。
今回は読譜力についてブログに書いてみました。
読譜力はなぜ必要?
ピアノレッスンをし始めてからずっと、「楽譜を見ないで弾く子」に悩んできました。初心者の楽譜って短くて簡単なものが多いので、子供はすぐに覚えてしまいます。それで覚えて弾くという子も多いです。
ピアノってスラスラ弾けるようになってる時って、音を耳と体が覚えてる時なんですよね。ただそれは楽譜を見ながら、反復練習を繰り返した後の話で、最初から覚えて弾くわけではないんです。あと長い曲や、難しい曲になったとき、覚えてから弾くのは大変です。
読譜力をつけるには
ではさっそく、どうすればいいかを見ていきましょう!
はじめて見る音符の数を増やす
そんな悩みを抱えていたとき、一冊の本に出会いました。そこにはこんな風に書かれていました。
読譜力ははじめて見る譜面と、その音符の数に比例する。
「目からウロコのピアノ指導法/馬場マサヨ著」
その子にとって「簡単な」楽しい美しい曲を、できるだけ「数多く」与える。目安は1週間に10曲以上。このやり方を2,3年続ける。
500個の音符がでてくるソナチネ1曲と、50個の音符がでてくる曲×10曲は同じ音符の量です。
最初私は楽譜代を請求するのに気を使い、これはしなくていいかなぁとか、簡単な楽譜は省いてしまっていました。難しい楽譜を何ヶ月もかけてするより、簡単な楽譜をどんどん進んでいく方が子供にとっても負担が少ないのです。
ずっと手元を見て弾かないようにする
ピアノに関しては、手元を見ないと不安な人が多いように感じます。どうしても手元をずっとみているお子さんには、楽譜で手元を隠したりもします。でも案外隠しても弾けたりします。でもずっと鍵盤を見て弾いてると、鍵盤の位置の感覚が身につかないですし、自転車の三輪から二輪に変わるときみたいにえいやっと目を離してほしいものです。
調べたところ左右の手5つの音のみで、ポジションが変わらない曲での練習が効果的との情報が!ひとつの鍵盤と、1本の指を磁石のようにくっつけて弾く、離さない。
こちらのyoutubeで紹介されている楽譜、メトードローズの楽譜すごい良さそうです!左右の隣り合った音のみの練習です。スタッカートの練習も効果的とのこと。スタッカートのとき、鍵盤から離れすぎないのもポイント。
メトードローズ ピアノ教則本(幼児用・上)
上記のyoutubeで使われている楽譜。私は子供の頃、この教材は使ってはいないのですが、初心者の生徒さんに使える教材だと思いました。ト音記号のソーレ、高いドーソが中心なので、最初の1冊目というより2冊目以降で使える教材です。
曲になっていなくて、ただ音の羅列なので、覚えて弾くということも避けられそうです。
ソルフェージュ教材を取り入れる
ソルフェージュも省いていた時期もあったのですが、やはり取り入れると生徒の伸びが全然違います。
下記におすすめのソルフェージュ本を載せておきます。
子供のためのソルフェージュ(1a)
これは私も子供のころ使っていたソルフェージュ教材です。
簡単なソルフェージュたくさん載ってるので、おすすめです。
4才のリズムとソルフェージュ<呉暁>
この教材は、私が講師をしている音楽教室でも使用されているソルフェージュ本です。
4才となってますが、初心者の方なら何才でも使えると思います。
「楽しいリズムパーティー]1,2巻/高橋千佳子著
最近お気に入りの、リズムの本もご紹介します。
こちら音源がついていて、その音楽に合わせてリズムを叩く練習です。1巻はピアノ始めたところの生徒さんでも、すぐにマスターできます。2巻は符点のリズムや8分音符、16分音符など様々な音符がでてきます。いろいろな音楽を聴くこともでき、リズムも楽しく学習できます。
初見の練習も取り入れる
初見の練習は、以前から時々していたのですが、これも読譜力をつけるのに向いているんじゃないかと思いました。はじめてみるやさしい楽譜という点で、初見はピッタリです!
ピアノ演奏グレードBコース10級 練習問題集
ヤマハのグレードは、13級〜6級まで生徒さんのグレードがあり、5級以上は指導者向けのグレードがあります。10級や9級あたりから生徒さんに、受験させている先生が多い印象です。
その中の課題のひとつに初見演奏があります。はじめて見るやさしい楽譜を30秒見てから、弾くという課題です。これが、読譜力をつけるのによいかもしれません。
音符カードや、色塗り、五線のマグネットなど
未就学児の生徒さんの場合、上記の楽譜は難しい場合があります。
そういった場合は、音符カードやワークの色塗り教材、また五線の上をマグネットなどで学習するのが良さそうです。これらを使って遊んでもらって、ある程度の理解力が出てきたら、次へ進めばいいかなと思っています。
まとめ
・はじめてみる楽譜の量をこなすこと。やさしい曲でOK
・手のポジションが変わらない曲で、手元を見ずに弾く感覚を身につける(メトードローズやぴあのドリームなど)
・ソルフェージュもいい加減にしないで、きちんと取り入れる
・初見の練習も取り入れる(ヤマハのグレード課題などの)
最初から、何となく覚えて弾くよりも、止まりながらでいいので、ひとつずつ音やリズムを理解して弾く。全然ピアノが弾けるようにならないとご家族の方は思うかもしれません。でも、はじめて見る楽譜をスラスラ弾けるようになるまで、何度も反復練習が必要です。止まりながらゆっくり練習するのは、初心者でもベテランでも多少の差はあれ同じです。そういう練習習慣がつけられるよう、私も試行錯誤していきたいと思います。